SKM実証
SKM Demonstrationこんにちは。シガ環境メンテナンス ドローン事業プロジェクトグループの白石です。
森林環境下でのLiDAR計測においては、樹冠によるレーザー遮蔽の影響により、地表点取得性能が大きく左右されることが知られていると思います。
特に高密度植生環境では、照射角度およびビーム分布特性が地表到達率に直接影響を与える可能性があります。
本検証では、DJI MATRICE400 に搭載した DJI ZENMUSE L3 を用い、スキャンモードの照射特性の違いが森林環境下における地表取得性能へ与える影響を比較・検証することを目的としました。
・対象:森林および森林内一軒家
・使用機材:DJI MATRICE400、DJI ZENMUSE L3、DJI Terra
・天候:晴
・風速:1~2m/s
本検証では、スキャンモードの違いのみが結果に反映されるよう飛行条件およびデータ処理条件はすべて統一しました。
・高度:30m
・速度:2.5m/s
・ジンバル角度:-90°
・リターン:オクタ
・スキャンレート:350kHz
・SL(サイドラップ):40%
・高度モード:ALT(相対離陸地点高度)
・ルート:同一経路
・処理ソフト:DJI Terra(Ver 5.1.1)
・点群密度:高(100%)
・精度の最適化:ON
・点群の平滑化:ON
・処理方式:LiDAR標準処理
・Ground分類:有効
・DEM解像度:0.5m
表示条件についても以下の通り統一しました。
・同一視点角度(30〜45°)
・同一ズーム倍率
・同一断面位置
・断面厚:0.3m
・目的:照射特性による違いを視覚的に明確化
これにより視覚差が照射特性の違いによるものなのかどうかを明確に判断できるものとしました。
スキャンモード間の特性差を明確に表示させるため、表示方法を統一し、評価目的に応じて可視化手法の使いわけを行っています。
・ターン数表示
レーザーの反射順序を示す
樹冠透過状況や地表到達性を把握
・断面表示
樹冠から地表までのリターン分布比較
・建物壁面表示
森林内一軒家の点群分布を比較
・グラウンド表示
DJI Terra標準アルゴリズムで抽出
地表面の連続性・欠損状況を確認
図1 全点群俯瞰(リターン数表示)
俯瞰表示では斜め上視点(30~45°)とし、点群の空間的分布および照射特性の違いを観察しました。視点角度およびズーム倍率は全モードで統一し、比較の公平性を確保しました。
図2 断面比較(リターン数表示)
断面表示では、同一位置において断面厚0.3mで抽出を行い、樹冠から地表に至るまでのリターン分布を比較しました。断面厚を固定することで、モード間の地表到達状況の差異を視覚的に評価できる構成としました。
図3 建物壁面比較
森林内一軒家の壁面部においても、各スキャンモードによる点群分布状況を比較しました。
図4 グラウンド比較(グラウンドポイント表示)
また、地表取得結果を確認するため、グラウンドポイント表示を用いてグラウンドポイントのみを抽出しました。グラウンド分類は、処理ソフトであるDJI Terraの標準アルゴリズムにより実施されている。グラウンド抽出結果は真上表示とし、地表面の連続性および欠損状況を確認しました。
図1(俯瞰比較)
照射パターンの違いにより、点群分布の空間的広がりに差異が確認されました。垂直FOVが広いモードでは、上層から下層まで多層的なリターン分布が形成される傾向が見られました。
図2(断面比較)
断面内のリターン分布を比較した結果、
・垂直FOV 80°モードでは地表付近に連続的な点分布が確認できました。
・直線スキャンでは植生密度の影響を受け、地表付近に空隙が発生する傾向が見られました。
これは、入射角の多様化による樹冠間隙通過確率の増加を示唆するものと考えられます。
図3(壁面比較)
各スキャンモードとも、森林および建物の外形は概ね取得されていることが確認されました。
一方で、点群の空間分布にはモードごとの傾向差が認められました。
・直線スキャンモードでは、照射方向に沿った分布傾向が見られ、特定方向にサンプリングが集中する様子が確認されました。
・米印形スキャンモードでは、水平方向および垂直方向へ広く分散する分布傾向が見られ、屋根端部や壁面付近に点群が広がる様子が確認されました。
・非反復スキャンモードでは、照射パターンが周期性を持たないため、空間的にランダム性を伴う分布傾向が認められました。
図4(グラウンド比較)
グラウンド分類後の点群分布を比較すると、地表面の連続性および欠損状況に差異が確認されました。垂直方向に広く照射されるモードでは、地表面の再現性が向上する傾向が見られました。
垂直FOVが広いスキャンモードでは、レーザー入射角の多様化が生じます。その結果、同一高度条件下でもビームの空間サンプリング幅が拡張され、樹冠間隙を通過する確率が向上した可能性があります。
一方、直線スキャンモードでは照射が限定方向に集中するため、縦方向のサンプリング幅が狭く、植生密度の影響を受けやすい特性があります。
したがって、
・森林密度が高い環境
・下層植生が発達しているエリア
では、垂直分散型モードが地表取得に有利に働く可能性が高いと考えられます。
本検証条件下において、スキャンモードの照射特性は森林環境下での地表取得性能に影響を与えることが確認されました。
特に垂直FOVが広いモードでは、地表到達点の連続性向上および欠損低減に寄与する傾向が見られました。
森林調査・地形解析用途においては、対象植生条件を考慮したスキャンモード選定が重要であると考えられます。
※本検証は特定条件下での比較であり、森林密度・樹種・地形条件により結果は変動する可能性があります。
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